ここ日本においても100年の長きにわたる戦乱の世にキラ星?のごとく現れ消えていった梟雄達。ある意味時代に華を添えたといっても過言ではないでしょう。
戦国の三梟雄といえば、『斎藤道三』『宇喜多直家』『松永久秀』っていわれるけどさぁ、日本三大梟雄でも『北条早雲』『斎藤道三』『松永久秀』で二人も被ってんだよね。
しかも全員戦国時代だしな。重箱の隅をつつけば北条早雲は室町ですよねーって言うやつがいるかもしれん。まぁそんだけ早雲さんは先駆け過ぎってことだ。
それにしても、早雲を梟雄と呼ぶなら、尊氏とか清盛の方が梟雄値高いだろーよ。
高師直なんかもかなり良い線いってるし、非道という意味で言えば尼将軍”MASAKO”がいっちゃん怖いし。
とはいえ、残りの道三・久秀・直家は文句ないね。やる事が残虐のファンタジスタ。
悪いことしかしねーよな。良いことは一切しません。だって梟雄ですから、僕ら。
良いことしたとしてもそれは、次の悪事の伏線だから!
もちろん悪人列伝の最初を飾るのは、この四人衆だな。
というわけで、日本が生んだ、どこに出しても恥ずかしくない巨悪。いってみよー
北条早雲
またの名を伊勢盛時。関東戦国時代の火ぶたを切った張本人。
政所執事の伊勢氏を出身とするエリート。じゃないと、今川家に妹(姉説もあり)を側室として入れられるないと思うぞ。
小説では、身分が低い流浪の民の方が面白いので、素浪人説を採用している事が多い。「御由緒六家と伊勢の神水を酌み交わし、一人が大名になったら、他の者は家臣となると誓い合った」というのは多分身分が低い事を想定して出来た逸話。
ともかく今川家のお家騒動に便乗して、妹の息子を跡取りにさせる事に成功。しかし甥の今川氏親が成人しても後見人の範満や小鹿孫五郎が家督を譲らなかったため、二人を襲撃。今川家家臣となる。一説に寄ると駿河守護代になっていたそうな。う〜ん、政所執事の家柄から(将軍家から見て)陪臣だと出世かどうか分からん。
その後堀越公方「足利茶々丸」を滅ぼし、伊豆を掌握。(なんだか茶々という名前は滅びるためにあるみたいです。)
この頃今川家の武将として遠江への進出に貢献もしている。
火牛の計で小田原城を奪取。貢ぎ物を贈りまくり「進物の伊勢」をイメージさせ、「ちょっと鹿狩りしたいんっすけどー、いいっすか?」とお願いし、OKをもらう。
OKする方もする方だけど、そんな作戦が成功すると思って、なおかつ成功させる早雲さんもすごい。
ちなみに孫の氏康も同じようなことをして河越夜合戦を制している。
ともかくこの小田原城が相模への橋頭堡となる。
と同時に今川の家臣として三河侵攻も行う(三河侵攻は失敗)。律儀な面も見せているように見えますが、甥っ子が跡取りの上、(外戚衆なので)実質北条領みたいなもんだから、がんばっちゃったんだと思う。
その後、今川の援助を受けながら相模を平定。相模伊豆の太守となる。徒手空拳から始めた前例の無い国盗りで周囲からすごい!と褒め称えられる…ことはなく、その後孫の代まで旧勢力との争いを続ける。
負けたり勝ったりを繰り返しながら、いつの間にか領土を広げていくという北条家のスタイルは、この初代早雲から培われてきたお家芸。
- 特技
- 勢子に扮した闇討ち。いつの間にか独立。よその家の児童虐待
- 最近の悩み
- 長生きしすぎて、長男(氏綱)の活躍が目立ちません。戦国初期過ぎて歴女がファンになってくれません。
斎藤道三
美濃の蝮(まむし)の名を持つ男。The 変名マニア。
変名マニアとして戦国初期を彩る。法蓮房(京都妙覚寺の僧)からスタートした変名ゲームは還俗を皮切りに、
松波庄五郎を名乗り、油問屋の奈良屋又兵衛の娘を娶る。
山崎屋庄五郎を名乗り、一文銭の穴に油を通す曲芸で財を成す。僧侶時代の縁故(日運)を頼り長井長弘の家臣になる。西村氏の家名を継いで西村勘九郎正利を称する。
名前を変えるだけでは飽きたのか、美濃守護である土岐政頼の弟、頼芸の信頼を得て、頼芸の守護就任に尽力する。
長井長弘を不行跡のかどで殺害。実行犯を牛裂きの刑に処す。長井新九郎規秀を名乗り、長井家の乗っ取り成功。日運どう思っただろうね。
美濃守護代の斎藤利良が病死すると、その名跡を継いで斎藤新九郎利政を名乗る。斎藤という名前を非常に気に入り、以後は斎藤で通すことに決めた。土岐頼満(頼芸の弟)の毒殺し、土岐頼芸を追放。
長男義龍に家督を譲るも無能な長男に嫌気がさし、次男の孫四郎に家督を継がせようとするが、破れる。最後は無能の長男義龍に首を取られてしまうのだった。
治世は、自分(道三)が悪さをするように仕向けた人物であろうと罪は罪!免れられないこの罪は牛裂きの刑!
ちょっとの悪も許しません!悪いことをした人は全員、釜ゆでです。その罪、業の深さを分かっていただくために、親兄弟一族郎党に薪をくべてもらいます!
といった、小悪ですら許さない清廉潔白な精神の持ち主であったようだ。
- 特技
- 養子に入って名前を変える。そして家を乗っ取る。長槍戦術。
- 最近の悩み事
- 息子が自分の子かどうか分かりません。なので、美濃は義理の息子のものになるって予言しときました。
松永久秀
ミスター梟雄。残虐さNo.1の信長をして「常人では一つとして成せない事を三つも成した男」と称された男
画像からして、もう人間じゃない。前半生は不明。三好長慶の右筆(今で言う秘書)として仕える。長慶が細川晴元、足利義輝を追放し京都を支配すると、三好家の家宰(今で言う雇われ社長)となる。そんな久秀の主人「長慶」も十分梟雄値が高い。
デビュー早々、主家の嫡男・三好義興と供に将軍”足利義輝”の御相伴衆になり、桐紋と塗輿の使用を許された。
コレ、主君”三好長慶”と同格なんですわ。すごいことなんですね。
気分を良くした、久秀は多聞山城を築き六角家と争い、政所執事伊勢家を討伐する。
長慶の弟”十河一存”、嫡男の”義興”を毒殺し、三好義賢(長慶の弟)の討死によりがっくりきた、長慶は間もなく死去する。
その後、一瞬だけ幼君”義継”を支える為、三好長逸・三好政康・岩成友通(俗にいう「三好三人衆」)と行動を共にし、13代将軍、足利義輝暗殺を行う。その勢いで切支丹も追放!(ココあとで大事だから覚えておくように)
全然支えてないじゃん!という突っ込みはナシの方向で。
こういう忠節の尽くし方しか知らないんです、この人。
やりたい放題仲間の三好三人衆と相容れる訳も無く、三人衆が擁立した14代将軍義栄と対立。久秀の味方をしてくれる者など誰もおらず、一時は消息不明にまでなる。
そんなピンチの久秀が考えついた裏技がクリスマスを理由に休戦する事。
やはりゼウス様の威光は強かった! 切支丹追放は無かった事に。三人衆の元から出奔した義継が身を寄せた事で勢いを盛り返す。
まさに信じる者は救われる。
東大寺に立て篭る三好三人衆を奇襲し、大仏殿に火を放つ。
さらに自分の陣営は古墳の上に築いていたという説もある。そっちも信じましょうよ! という突っ込みもナシでよろしく。
三好三人衆とのゴタゴタの最中に信長が上洛。あっさり恭順し、名器「九十九髪茄子」を献上。
気を良くした信長が義昭(義輝の弟)を説得し、幕府の直臣として大和一国を攻略する。信長が自分の為ではなく、人の為に動いた唯一の事と言っても過言じゃありません。やっぱり久秀持ってます。
金ヶ崎の戦いではなぜか裏切らず、朽木元綱を調略し、信長のピンチを救う。これが、久秀最初で最後の忠節。
第一次信長包囲網に参加したが、色々あって(信玄が死んだり、信玄が死んだり、信玄が死んだり…)降伏。
「一回目は許す」を信条とする信長はもちろんこんな久秀でも許しちゃう。
油の抜けた久秀は大した活躍もせず家臣団に埋もれていく…
と思いきや、ショッカーばりのしつこさで有名な将軍”義昭”と呼応し、第二次信長包囲網で叛旗を翻す。
理解不可能なこの久秀の行動に、さずがの信長もとまどい、一気に攻める訳ではなく、
・まずは理由を聞きにいく → 追い返す
・許すから名器「平蜘蛛茶釜」よこせ → 断る
・孫を斬首
という、信長としては気の長い対応を取るが、久秀は意に介さず反抗を続けます。
そして有名な平蜘蛛茶釜 The 爆死へと繋がる。よっぽど平蜘蛛を上げたくなかったんだろうな。
ボンバーマンの誕生です。
また、ひ孫が儒学者になっている。
いやいや、お前が儒学を語るなよと突っ込まれなかったんだろうか?
甥の内藤如安も、敬虔なキリシタンですからね。
久秀だけが特殊な血の持ち主だったんでしょうかね。
治世では善政を敷き、微罪で捕まったり年貢の未納があった場合、油の染みた蓑を被らせ火をつけ酒を飲みながら楽しんでいた。久秀の死をよろこんだ農民は農具を酒に換え祝い合ったという。←全然善政じゃないやんと思うでしょうが、ウィキペディアにそう書いてありますので。
- 特技
- 爆発。裏切り。焼討ち。暗殺。城造り(天守閣の創始者とも言われています)・お茶・エロ(性技指南書を著している)
- 最近の悩み事
- 平蜘蛛茶釜を狙われて困っています。誰が味方か良く分からなくなりました。そう、自分さえもね。
宇喜多直家
「中国三大謀将」の一人。今日も今日とて、趣味の暗殺に励みます!
祖父を島村盛実に暗殺され、父と共に放浪生活を送る。その後浦上宗景に仕え、海賊対策のため乙子城を任せられる。自ら海賊になっちゃえばいいよね?という、画期的な海賊対策を行い、近隣を荒らしまくる。
その後、舅の中山信正と宴を催し、暗殺。
主君宗景に信正謀反の報を告げ、島村盛実が応援に来た所を暗殺!信正かわいそすぎるな。この知らせを聞いた嫁は自害しました。
家臣(岡郷介)を逐電させ、女乞食を郷介の母に仕立て上げ、龍口城主穝所元常と敵対関係にあった須々木氏に召抱えられる。
が、色々あって逐電し穝所元常の元に逃げ込む。当然、元常は母(女乞食)を処刑し、嘆き悲しむ郷介に穝所元常は心を許す。
しばらくして穝所元常の信頼を受けるようになり、油断したところを暗殺。
そのまま直家の用意した舟に乗り逃亡。直家は城主が死に混乱した龍口城を攻め落とす。
もう、普通の暗殺には飽きました。
穝所元常の主家筋である松田元輝と和議。元輝の息子元賢に長女を、元輝の家臣”伊賀久隆”に直家の妹を嫁がせる。
もうコレで松田家と宇喜多家は一心同体です!!
主家と敵対関係にあった三村家親を日本最初の狙撃にて暗殺。ちなみに実行犯とは顔見知りなだけ。
狙撃に魅力を感じたのか、松田家家臣”宇垣与右衛門”を鹿と間違え射殺。
義理の弟になっていた伊賀久隆を寝返らせ、松田元輝を攻め、親子ともども討死させる。娘は自害。
浦上宗景に叛旗を翻すが、同年謝罪。帰参を許され、娘を宗景嫡男の浦上宗辰に嫁がせる。
浦上家と親戚関係になったからには、もはや主家と我家は一心同体です!!
家臣に言いがかりをつけ切腹を命じ、岡山城を簒奪する。
宗景の兄の孫の久松丸を世継ぎとし、宗景を播磨へ追放する。久松丸は母ともども毒殺する。
岡山城城主となっていた、娘婿宗辰のご機嫌伺いに行き毒殺。娘は当然自害。
娘婿後藤勝基、謀殺。
姉婿谷川久隆、謀殺。
伊賀久隆を岡山城に招き毒殺。
つーか、みんな、直家に気を許し過ぎです。
政治バランスに長けていて、自分の立場が不利になると、より強い勢力と結び勢力を伸ばしていった。
ある意味、下克上の完成系のような人物ですね。
なんか、もう、直家と目が合うだけで、暗殺されそうですね。
- 特技
- 毒殺。宴会。結婚。闇討ち
- 最近の悩み事
- 弟の忠家が鎖帷子を脱いでくれません。あと、息子の性格が自分に全く似ていません。
・・・・・。
うーん、マイナス方向に爽快だなぁ。
早雲に関しては何となく、そこまで酷くないんじゃない?と思えてしまうのは後の三人の酷さが目立つからか。
戦国初期から末期にかけてどんどん昇華していく謀略がこの4人に集約されすぎ!
「信用というのは人と人との繋がりから成り立つもんだ」なんて言われているけど、そんな道徳が全く通じない世の中だからこそ輝けたんかもしれんな。
まぁな、いっても三英傑だってかなり激しい事やっている訳だし。天下の簒奪者に比べてみれば、ちっこい事なのかもしれんな。
いやいや1回目とか2回目までは分かるが、なんでみんな信じちゃうのかが分からない。何となく流れで、そうなったとしても全く信用出来ないだろ。こいつらと、酒なんか一緒に飲めんよ!
いやいや、今でもあるじゃん。「私は騙されない」と思っていて、振り込め詐欺に引っ掛かったり、良く分からない投資話に乗ってしまったりとか。「俺を騙せる奴等いやしない」と過信している人達がむしろ騙されてしまうという事なんだよね。ましてやそれが主君だったり、重臣だったりしたらプライドからビビってるって思われたくないってのもあるわけじゃん。
そうか!ビビりを認めた家康こそが天下人の器を持った男であるってことだな。
なんだ?この家康再評価の流れ。しかも家康はビビってる事認めてないと思うぞ。態度に出てるだけで。
周りにバレてたら、もうそれはビビってますって公表してるのも一緒じゃん。だから「あーこの人ビビってるから、無茶はしねーよな」と周りが安心しちゃうんだって。
ビビりほど怒らせると怖いってのもあるがな。まぁ確かに言いがかりの付け方もビビりならではの言いがかりだしな。「名前が切られた〜!」とか言っちゃって、ヤッすんCawaii!
お前、言い過ぎだからw. まぁでもこの悪人ども結局の所、全て滅亡してんだよね。
やっぱ巡り巡って降り掛かってくるんだよ災いは。悪さはするもんじゃないな。
それより、どうすんの?いきなり超大物ならべたら、このシリーズあと小粒じゃん。
いやいや、悪人にも種類があってだな。妙に人間臭い悪人だとか、痛すぎる人とかそういう素晴らしい逸材が日本には揃っている訳ですよ。
まぁ結局、ただの悪ってのもいる訳だしな。龍造寺隆信とか。そういった人物を掘り下げていくのもまた一興かもしれん。
と、いうわけで悪人列伝シリーズ第二弾をお楽しみに〜
悪人を楽しむのかよ!