月岡芳年の武者絵『武者無類』と『大日本名将鑑』を読みました。結論:買うべき。

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月岡芳年画集!『武者無類』と『大日本名将鑑』

さてさて、今回はアスキーメディアワークス・歴史魂編集部発行の『武者無類』と『大日本名将鑑』のレビューといきます。
両書とも10月3日発行なので、すぐに書店やAmazonで購入できますね。

結論から言うとですね、はよ買え。

そもそも、月岡芳年といわれても月亭八方と区別がつかない人もおられると思うので、書籍レビューの前に月岡芳年の紹介を。

月岡芳年ってどんな人?

天保期に誕生し、明治中盤まで生きた浮世絵師。
浮世絵というとイメージされるのが、写楽の顔がデカい絵だけど、この人は衝撃的な無惨絵等で有名。
「血まみれ芳年」の二つ名が付いているほどだ!
とはいえ、浮世絵の衰退期でもあったので、ショッキングな絵を描く事で浮世絵の存在を示したとも言えるだろう。
要約するに明治期の人気イラストレーター。アバンギャルドな浮世絵師。
ちなみに 芳年は「よしとし」です。師匠の歌川国芳から一字頂いて芳年です。
無惨絵ということで耳なし芳一にあやかってつけた名前ではありません。

見開きでシーン解説と登場人物解説

見開きでシーン解説と登場人物解説

見開きが読みやすい

『武者無類』には芳年が残した武者無類を中心とした武者絵を集めた本書は古代から江戸期までの歴史的人物が53点描かれている。
一方、『大日本名将鑑』には神話時代から江戸幕府初期までの名将51点が収められている。
人物の明治期の解説の現代語訳とその描かれたシーンの説明、そして実際の絵を見開きに収めたページ構成は、絵の風景を前後を読者に想像させやすい構図となっています。
右側に武将絵が描かれているので、解説から読みたくなるが、一度じっくり絵を見てから解説を見るのをおススメします。よりシーンのイメージが膨らむと思いますよ。
現代とは違った解釈や歴史認識なので、現代人には違和感のある内容の解説もあるけど、明治期の人々が誰をどんな形でイメージして、どのような解釈で評価していたのかがリアルにわかります。

構図の大胆さに震える(登場人物よりも脇役の方が大きかったりする)

『武者無類』・『大日本名将鑑』両書に言える事だが、登場人物の歴史的(想像上の)ワンシーンを捉えている為、タイトルの登場人物がメインじゃなかったり、後ろ向いていたり、ウォーリーを探せ状態だったりと飽きさせない構図になっている。人物イラストなら人物中心で描く事が多い現代では想像できないことだが、「マジ、このシチュエーションあったに違いない」と思わせる臨場感は、まさに最後の浮世絵師の面目躍如にふさわしい内容。

小早川隆景

登場人物よりも脇役の方が大きかったりする

また現代っ子な歴史雑談録は名将と言えば、もちろん室町〜戦国期の武将達を想像してしまいがちで、手に取る前に想像していた武将達、例えば政宗や幸村なんかが武者絵で見られると思っていたのだが、明治期の人々はもっと王道でした・・・・いや、意外でした。
自分の期待する武将が入ってないぞ!と思う方もいらっしゃるとは思いますが、マジ?こいつ武者じゃねーよといった意外な人物から、あぁ目から鱗でしたと再評価できる人物。誰それ?な人物と明治の人が考える英雄に酔いしれるのも一興というもんです。

個人的に登場に驚いた人物は、

  • 武者無類の羽柴秀次
  • 大日本名将鑑の足利義政

などの人物。
たしかに人物だけで見ると意外だなと思えるが、そのシーン描写がすばらしすぎる。
歴史的評価はともかく、本人はその時はそういう雰囲気(気持ち)だっただろうなぁ。ってのがすっげー分かります。

そして衝撃的な描写なのが・・・と書こうと思ったのだが、一杯ありすぎて困る(笑)
それでもあえて一つ上げるなら

  • 源義朝

源氏鬼門の風呂場での襲撃シーンを収録しているんですが、“マッチョ”義朝さん、襲撃をモノともせず撃退しちゃってます。
芳年さん、歴史が変わってまうで、しかし・・・・

贅沢な2巻同時発売がもったいない

惜しむらくは、2巻同時に発売の為、自分を含む読者の情熱が分散してしまうという。
どっちも見たいが故に、1冊をじっくり楽しんでいるかどうか、自分自身に疑問を持ったということです。
両書とも歴史的人物の1シーンをピックアップしているものなので、じっくりとその背景をイメージし、時間をかけて堪能したいところでした。
まぁ、永久保存版確定なんで、これは贅沢な主観ですね。

とまぁ、やっぱ日本人は浮世絵っすよ。

最近ではゆるキャラや萌え画な武将イラストも多数ありますが、やっぱり原点は浮世絵。
迫力ある構図や人物描写は浮世絵あっての現代のイラストなんだなぁと、現代につながる武将絵の歴史(ってあるのか?)を感じる納得の良書でした。

最後に歴史魂さん、ご献本ありがとうございましたー。

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おのおの方の反応は如何に。

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