そのツキのなさには誰もが涙し、時として滑稽ささえこみ上げる、そんな内ヶ島氏理ですが、その波乱万丈の人生は如何に?
世界遺産ともなった白川郷に花を咲かせ、そして散っていった、そんな内ヶ島ファミリーのお話です。
長い日本史の中でさまざまな一族が、さまざまな理由で滅亡しておりますね。古くは物部氏や蘇我氏、近代史では乃木大将とか。そんな滅亡した人たちの中で、もっとも滅亡点が高いのが内ヶ島氏じゃーないでしょうか。ぶっちぎりで金メダル。
滅亡点って。それに乃木大将は別に滅亡してないぞ。殉死だバカ。
内ヶ島氏の武略たるや、”越後の龍”上杉謙信、”飛騨の覇者”姉小路頼綱をも退け、領内不敗を誇る守り神様。
その勝率10割の内ヶ島氏。これはすごいんです、数字だけ見れば。
ちなみに内ヶ島氏は楠木正成の末裔という説があるんだよな。ゲリラの神様。足利義政の奉公衆だった内ヶ島氏は義政の命で信州松代から、白川郷に入植。信州松代と言えば真田の本拠。戦上手は松代で培ったってわけだ。
松代は、信之が入封しただけで代々真田の土地じゃないぞバカ。
で、内ヶ島氏って鉱山師でもあって、入植していきなり金山を2つ3つ発見するんだ。その財力は義政の造営した「銀閣寺」の資金を献上したという噂もあるくらい。
南朝方の重要人物の末裔がなんで、室町幕府の奉公衆になれんのかは疑問だなぁ。
きっと履歴書の特技欄に「採掘」とでも書いてあったんだろうな。「鉱山探索技師1級」。
(室町幕府の奉公衆は将軍の直轄軍みたいなもの)
信州松代から白川郷に移るって、まさに特技から採用っぽい気がするんだよなぁ。
「あー、内ヶ島くん、あそこの山ね、金出そうなんだけどね、ちょっと行ってきて。」
「分かりやした!ちょっくら掘ってきます。」
「見つけやした!3つほど」ってな感じでね。
合掌造りチョーCOOL!! 俺ここに住む。そして金山発見!! って、本当に戦国大名か?いや武将ですらないぞ!職人集団だ。
そんな事言ったって、不敗だし。(ただし領内に限る)
難攻不落と言われた小田原城ですら城攻めで陥落したというのに、内ヶ島氏は外征中に家臣が勝手に城を明け渡しただけ!
「主人が留守なもんでして。お入りになってお待ちください」→ 城とられる、的な。
間抜け過ぎんだろ!
しかもその外征っていうのが、生涯でその1回だけの外征! この野心のなさ。
んで、外征つっても、自ずから攻めた訳じゃないし。
秀吉が関白になった後の「富山の役」だな。
佐々成政の越中攻めに援軍として外征したら、羽柴勢の金森長近に城をとられたって、言う。
そんな内ヶ島氏の領地白川郷を見てみましょう。
おおぅ、山ばっか！秘境? 陸の孤島?
天然難攻不落! 誰も攻め込ませない!よせつけない!
武田も斉藤も、領土的価値がないからスルーしただけじゃないか?
んなわけで、内ヶ島氏の治世のおかげでここ白川郷は世界遺産に登録されました!
白川郷が日本の「秘境」100選に選ばれたのは喜んで良いのかどうかわからんな。
いやいや、日本の美を守りきった内ヶ島氏、戦国時代のMVPといっても過言ではないでしょ?
過言だろ。専守防衛。今の日本みたいだな。たまにPKOで海外に行くくらいなもんで。
生涯一度の外征も、行く行かないで、軍議では揉めたんだろうなぁ。
そして、悲劇の滅亡へ近づいて参ります。これは聞くも涙、語るも涙。ハンカチなしではいられません。
日本史上、例のない滅びの美学だよな。葉隠れ?なにそれ?状態。
前述の通り、家臣の内応により城を豊臣方に奪われた内ヶ島氏理。奪ったのは金森長近。豪傑です。
豪傑ではない気がするなぁ。まぁ赤母衣衆だからエリートには間違いないけど…
城をとられた後、基本的に領土的野心がないからか、恭順の意を表したところあっさり城に戻る事を許されます。
そして城に戻った後の、和平祝賀会(身内のお疲れパーティー)の行われた天正13年11月19日(西暦1586年1月18日)。
突如起こる大地震。
帰雲山の山崩れによって飛騨国帰雲城は埋没。
たまたまパーティーで集まっていた一族全員生き埋め。
ここに、栄華を誇った内ヶ島一族郎党は全滅したのであった。
山内一豊の一人娘”与称”や前田利家の弟”秀継”が亡くなった「天正大地震」だ。
それにしても大地震だったにもかかわらず、歴史的武将とかが死んでないのが不思議。
しかし、歴史的大名内ヶ島氏は一族郎党all滅亡、しかも近隣住民もすべて全滅…
Wikipediaにも、「前代未聞の「天災による一族郎党一夜にして全滅」」っていうナイスなキャッチコピーが書かれてる。Wikipediaなのに!
いやぁ涙無しでは語れませんでした。切ないよね内ヶ島氏。運がなさ過ぎ内ヶ島氏。
おいおい、さっきから聞いてたら、内ヶ島一族の話ばっかで氏理個人の伝説とか逸話がないぞ。そろそろ本人の伝説を語ってくれよ。
え?特に無いよ。
いや、なんかさぁ、あるじゃん普通、個人の伝説とか逸話とか。普通。
おぉ!そういえばあった。採掘を生業とした内ヶ島氏、この帰雲城の場所には大量の金が埋まっているという埋蔵金伝説がある!
・・・(だからそれは内ヶ島 “一族” の話だろが…)。